佐渡汽船　債務超過１０億円に拡大
通期　純損失３８億円の見通し


2020年11月17日　新潟日報
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/economics/20201117581794.html



佐渡汽船（新潟県佐渡市）は１６日、２０２０年１２月期第３四半期（１～９月）の連結決算を発表し、９月末の債務超過額が１０億７２００万円に拡大したことを明らかにした。新型コロナウイルスの影響で旅客需要が激減し、書き入れ時である夏場も客足が戻らなかったことが影響した。通期の連結業績予想も修正し、２８億円と見積もっていた最終赤字が３８億円に膨らむ見通しも公表。債務超過解消のため、金融機関などへ資金の追加支援も求めている。

同社は新型ウイルスの影響で４月以降、旅客や輸送需要が低迷。６月中間連結決算で５６８０万円の債務超過に陥っていた。観光の最盛期である７、８月も感染再拡大のため振るわず、旅客輸送は前年同期の半分以下に落ち込んだ。

同社は、債務超過解消や財務基盤強化に向けた経営改善計画を策定。輸送量に見合ったダイヤ編成や、新卒採用抑制などによる人件費削減などを行うとしている。

同日には、第四銀行から今月２４日付で７億円を資金借り入れる決議を行った。佐渡汽船は既に感染症対応資金として、国や自治体、金融機関へグループ全体で約４０億円の資金調達を決定。取引金融機関には追加支援を求め、協議中という。土屋亨総務部長は「現状、資金調達は順調にできている。資金繰りの安定のために引き続き取引金融機関との協議を続ける」としている。

秋以降に客足が回復したものの、小木－直江津航路の高速カーフェリー「あかね」売却に伴う減価償却費の増加や、経営悪化で固定資産の減損処理を行った影響で、通期の見通しは厳しい状況だ。

業績予想では、売上高は７０億１９００万円から７２億５４００万円に上方修正した一方、船舶や建物などの減損処理により、７億４０００万円の特別損失を計上。営業損失は２９億１８００万円を３２億３９００万円、経常損失は３０億２２００万円を３３億５２００万円にそれぞれ引き下げた。年間配当予想は未定とした。

第３四半期決算は売上高５３億４００万円（前年同期比４０・１％減）、営業損失１９億２千万円（同営業利益５７００万円）、経常損失１９億７３００万円（同経常損失２４００万円）、純損失２７億３５００万円（同純損失６７００万円）だった。





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高速カーフェリー「あかね」 最後の定期運航
小木－直江津航路に就航５年


2020年11月16日　新潟日報
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20201116581522.html




佐渡汽船の小木－直江津航路が冬季運休に入ることに伴い、高速カーフェリー「あかね」が１５日、同航路で最後の定期運航を終えた。観光面でのプラス効果が期待されたが、乗り心地の悪さから利用が伸び悩み、同社が売却方針を決定。新潟県佐渡、上越両市の市民らが見送る中、就航わずか５年で姿を消した。

最終便が出航した午後４時半すぎ、小木港の岸壁にはあかねの姿を見ようと市民らが集まった。最後の出航を告げる汽笛が鳴り響くと、市民らは送り太鼓を披露したり、写真を撮ったりして別れを惜しんでいた。

直江津から乗船した上越市の会社員、高橋憲一さん（５２）は「最後なので一等席で眺めを楽しんだ。今後車で本土に戻る際に、陸路の移動距離が長くなるのが不便だ」と漏らした。

同航路は冬季運休明けの来年４月以降、ジェットフォイル（Ｊフォイル）を代替船として充てる。最終便の出航を見に来た佐渡市の公務員、竹内雄輝さん（２３）は「Ｊフォイルは自動車航送ができない上に、運賃も高い。上越方面からの観光客が減らないとよいが」と懸念した。

あかねは、北陸新幹線開業直後の２０１５年４月に就航した。両港を１時間４０分で結び、従来の１日１・５往復の不規則ダイヤを解消。さらなる誘客が期待されたが、双胴船特有の揺れから乗り心地の悪さが評判となり、客離れが進んだ。燃料、修繕費のコスト高もあり、１７年から年約１０億円の赤字を出してきた。

今年は新型コロナウイルスによる輸送需要の低迷などを受け、同社は中間連結決算で債務超過に転落。経営改善策の一環として、あかねの売却方針を打ち出し、１０月に県、佐渡、上越両市と合意した。

あかねは冬季、両津－新潟航路のカーフェリー２隻がドック入りする期間に同航路で代替運航する予定。










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