来島海峡貨物船沈没
「危険性高く神経使うエリア」外国航路船長経験者ら指摘


2021年6月3日（木）愛媛新聞
https://www.47news.jp/localnews/6344935.html




愛媛県今治市沖の来島海峡西口で５月２７日に貨物船「白虎」が外国船籍のケミカル船と衝突し、沈没した事故。現場海域の航行経験が豊富な同市在住の海運関係者は「来島海峡でも衝突の危険性が高い、神経を使うエリア」とし、世界で唯一の航法を取る特殊な海域での船同士の意思疎通の難しさや、横からの衝撃に弱い同じタイプの貨物船の特徴を指摘する。

船の外国航路船長を１５年務めた水野進さん（７２）と、造船所で建造・修理された船の試験航海を担うドックマスターとして今も来島海峡周辺で船を操る品川元さん。口をそろえるのは、事故が発生した西口付近の航行の難しさだ。

船は右側航行が原則だが、島や岩場が点在し潮の流れが速い来島海峡は、南流時に左側航行に切り替わる。南流時には航路の両端で行き交う船が交差するが、東口よりも西口の方が難易度が高いという。

西から来島海峡に入る船は左側通行に切り替えるため、高縄半島沿岸から離れるように大回りする必要がある。水野さんは「船の進行方向に流れる潮に押されて、十分に左に寄れない場合がある」と指摘。対向する船と進路が重なった場合は無線でやりとりし、回避方法を探る。


通過する船は海上保安庁の来島海峡海上交通センター（通称・来島マーチス）が発信する無線を聴取することになっており、すれ違う際に相手の動きが読めないなど個別にやりとりをする場合、別のチャンネルに切り替える。水野さんは事故の危険性がある場合でも「管制官には船の動きを指示する権限はなく、船長の責任で判断するのが基本だ」と明かす。

死亡、行方不明となっている船長を含めた３人について水野さんは「沈むとは思わず、船を何とかしようとしていたのではないか」と心を痛める。来島海峡を通る１万トン以上の船は法律で水先案内人を乗せるよう義務付けられているが、２６９６トンのケミカル船は対象外。「潮が速いときは水先人のいない船を入峡制限するべきではないか」と提言し、事故根絶を願った。













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